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医学部入試の特徴から勉強法、志望校選びまで…医学部突破をめざすための基礎知識

医学部入試の特徴から勉強法、志望校選びまで…医学部突破をめざすための基礎知識

医学部受験には他学部とは異なるノウハウが必要とされる。医師に求められる素質や、学力養成のステップ、先手必勝の情報収集まで、医学部合格をめざすために身につけておきたい「基礎知識」について、代々木ゼミナール教育情報センター教育情報室の室長を務める木戸葵さんが解説する。

医学部の先に、医師として働く未来は、描けているか

 大学入試において、トップレベルの難度となる医学部受験。「学力の高い生徒がめざす進路」ということに意識がいきがちですが、「医学部をめざす」ということは、 「医師になる」ことに直結しています。医学部受験に興味を持ったのであれば、まずは「医師」という仕事を多方面から理解したうえで、「本当に医師になりたいのか」「医師としてやっていけるのか」を真剣に考えるべきです。

 「医師になる」という強い決意が伴わなければ、合格できたとしても、その後に続く険しい道のりを乗り越えることは難しいでしょう。学力の養成はもちろん不可欠ですが、受験勉強に入る前に、医師をめざす理由に加えて、「どんな医師になりたいか」「医師としてどんなことに貢献したいのか」といった目標は、漠然とでも持っているのが理想です。そしてこれらのことは、合否判定に大きく関わる面接で、必ず問われる要素なので、時間をかけてしっかりと固めておきましょう。

 受験勉強が本格化する時期には、こうした自己分析や考えを掘り下げるための時間をつくることが難しくなるので、高校入学前や高校1年生など、比較的余裕があるうちに、医療現場の仕事を知り、医学部で学ぶイメージを持てるような機会をつくりたいものです。何から手をつければいいのか分からない場合は、塾や予備校などが開催する「医学部合同説明会」や「医学部進学フェア」といったイベントやセミナーに参加してみるとよいでしょう。医学部入試に必要な知識が得られることはもちろん、第一線で活躍する医師や大学教授の講演などが設けられていることも多く、やりがい・大変さなど、医師の仕事の深い理解にもつながります。

大学に足を運んで
医学部での学びを知ろう

 医学部のある大学では、通常のオープンキャンパスとは別に、医学系に特化したイベントやプログラムを多く開催しています。施設見学や受験概要の説明のほか、医学部生との交流や摸擬講義、実習体験などが盛り込まれていることもあり、医師という仕事についての見識を深めるためにも大いに役立ちます。イベントの開催ピークは、夏休み期間にあたる7~8月。体験型プログラムなどは定員制で、事前予約が必要となることも多いので、大学のホームページなどで詳細を確認しましょう。近年では、大学ごとの開催スケジュールをまとめた検索サイトも充実しているので、情報収集がしやすくなりました。

 医学部は、合格するまでも大変ですが、入学後も大変です。卒業までの6年間は学習量も膨大で、体力がなくてはままらない実習や実験などもあります。研鑽を重ね国家試験に臨み、卒業した後、晴れて医師になっても、激務と勉強を並行させながら、経験を積んでいかなければなりません。医療現場は24時間体制で夜勤がつきもの。体力を使う仕事であり、時には患者の死と向き合うなど、精神力も必要となります。そして忘れてならないのは、「人」と向き合い、「人」のために尽くす仕事ということです。他者と関わることに関心を持ち、円滑なコミュニケーションを取ることは、臨床の現場はもちろん、研究分野に進むことになっても、いちばんに求められる資質です。医学部や医療現場を見学する機会があれば、「治療をする側の立場」の目線で、物事を考えてみることも大切です。

大学ごとの教育内容や
カリキュラムの特色は
教育理念や立地環境で違う

 一口に医学部といっても、大学ごとにその特色や強みは異なります。まずは国公立大学と私立大学の違いについて解説します。

 国立大学の多くは総合大学で、1年次には学部の区別なく、教養科目を履修するカリキュラムが組まれているのが一般的です。医学部とは別のキャンパスで学ぶ大学も多くあります。1・2年次から教養科目と並行して基礎医学を学ぶカリキュラムを基本とする単科大学や私立大学に比べ、より幅広い学びに触れることが可能です。

 一方、単科大学や私立大学では、1年次から時間をかけて専門科目を学んでいくため、医師国家試験や、多くは4年次で行われるCBT(医療系大学間共用試験)などの対策に時間を割くことができます。医学部生として履修すべき内容は、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」として定められていますので、国立総合大学の医学部生は、一般教養も含め、必要単位を6年間で計画的に修める努力が求められます。

 一見すると総合大学のシステムが不利と感じられますが、さまざまな学部が混在するキャンパスで学ぶことは、医学部以外の学生との交流を持つ良い機会に恵まれるメリットになります。医師になれば、老若男女、多様な患者に対応することになるので、社会性を育む環境に身を置き、専門分野以外の人脈を築くことは、医師を目指す上では大切です。

 学習内容についても、大学ごとで特徴があります。都市部もしくは地方という立地や、大学が設立された背景などで、強みとなる専門分野や、医師として活躍する方向性は異なります。

 たとえば、地域に根差した医学教育を展開する「地域密着型」に特化しているのが公立大学です。神奈川県横浜市にある横浜市立大学はその代表で、「地域貢献」という理念の下、1949年の設立から地域の人々の健康を守り続けています。大学を取り巻く地域の状況などにより特色は異なりますが、首都圏よりも地方の大学のほうが、独自の教育を導入している場合もあります。

 地元高校との連携を強く押し出す大学もあります。北海道札幌市にある、国立の北海道大学医学部と公立の札幌医科大学では、地元高校と連携し、医療現場への見識を深める講義やキャリア教育、公開講座を開催しています。背景には、医師という仕事を高校生にしっかりと理解してもらうことで、大学や仕事とのミスマッチを回避するとともに、他の地域への人材流出を防ぐ狙いもあるようです。

 都市部と比較して、地方では医師不足が深刻化しています。栃木県下野市にある私立の自治医科大学は、僻地医療と地域医療の充実を目的に設立された大学で、入学定員を各都道府県に振り分けて合格者を出す独特な入試制度を導入しています。全寮制の下、地域医療に従事する総合医養成という観点から、臨床実習に重点を置いた教育が特徴的です。密度の高い教育を実施していることに加えて、志の高い学生が集まるからでしょう。医師国家試験の合格率は例年ほぼ100%です。

 他にも特徴的な教育研究活動を行う大学もあります。総合大学の枠からは外れますが、歯学部と併設されている医学部として、体全般の病気と口内・歯の病気をリンクさせた研究で名高いのが、東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)です。2024年10月に東京工業大学と合併し、東京科学大学として生まれ変わりました。医学や歯学、理工学の分野での連携を進めた研究力の強化に注目が集まっています。

学校の授業に注力し
早い段階からの基礎固めを

 医学部は依然として多くの志願者を集めており、ここ数年の志願倍率は、国公立大学で4倍程度、私立大学の一般選抜では30倍台前半で推移しています。私立大学の中には、保護者世代が受験生だった頃に比べて、入試倍率・難易度ともに大幅にアップしている大学も見受けられます。

 医学部人気の要因の一つには、受験生やその保護者の「安定志向」があるようです。安定した生活が想定しやすい職業として、「医師」の人気は不動といえそうです。

 加えて、地方在住の受験生、とりわけトップ層の生徒が、東京大学や京都大学といった難関大学ではなく、地元の国公立大学の医学部を志望する傾向が強くなっていることも要因とされています。

 時代とともに状況は多少変われども、医学部受験が非常にハイレベルな入試であることに変わりはありません。医学部を目指すのであれば、早い段階から基礎学力を養っておくことは鉄則です。

 医学部志望者の多くは、私立・国公立の区別なくトップ進学校の成績上位層です。英語・数学・国語の主要3教科は「抜きん出ていて当たり前」の成績が求められます。いずれも成績が上がるまでには時間がかかる教科なので、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)レベルの学習範囲は、早めに確実に固めておくことが得策です。

 現役生であれば、まずは学校の授業で学力のベースをつくることを第一に心がけましょう。特に高1から高2では、医学部受験を意識した特別な勉強に着手するよりも、基礎固めを確実に、学校の授業をきちんと受けましょう。応用問題や入試問題に取り組むのはその後です。高3になって「忘れてしまったから、やり直さないと」とならないよう、日々の授業にも真摯に取り組みましょう。

 学習時間を確保する時間管理術を身につけておくのもこの時期です。医師に不可欠な人間力を養うためには、部活や課外活動など勉強以外の体験も必要です。医学部受験は長期戦となります。高1のうちはぜひとも勉強以外のことにも挑戦してください。学年が上がるごとに勉強量が増えることを想定しておけば、学習スケジュールを組み立てる練習にもなります。

 学習習慣は、日々の積み重ねで身につきます。勉強は机に向かわなければできないものではありません。通学時間や学校の休み時間、放課後、寝る前のひと時など、スキマ時間の活用も、積み重ねれば確実に力はつきます。「頭のいい人」の多くは、勉強に充てられる時間を上手く確保し、その時間に何を勉強するとよいのかを考えているものです。できるだけ早い段階で、勉強のリズムをつくっておくことが、過酷な受験勉強を乗り切るための秘訣となります。

 プラスアルファの学習のために、塾や予備校などを利用する際には、学習進度にも注意が必要です。学校と塾・予備校の学習内容にずれがあると、混乱を招く恐れがあります。背伸びをせず、学校の学習進度に合った講座を選んだり、映像講座を受講したりと、自分なりに調整することが大切です。

 一方、面接や小論文の対策は、学校の授業や自学自習だけでは立ち行きません。医学部進学実績の高い学校の中には、手厚いサポートを行うところもありますが、そうでない場合は、医学部受験に特化した塾や予備校を頼るほうがよいでしょう。その多くは、単科の受講でも、進路指導をしてくれるようです。志望校選択や受験スケジュールの組み立てなど、プロのアドバイスは「鬼に金棒」。合格を確実にするための手段として考えておきましょう。

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