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【科目別入試対策 第2回】必要なのは長文を速く読み取る力  早い時期に「多読」の習慣を付けよう

【科目別入試対策 第2回】必要なのは長文を速く読み取る力  早い時期に「多読」の習慣を付けよう

科目別入試対策の第2回目はSEG 代表であり、2025年にThe Extensive Reading Foundation(国際多読学会)にてThe Milne Innovation Awards(ミルン革新賞)を受賞された古川 昭夫氏に、医学部受験を見据えた英語学習の長期的な取り組みについてうかがいました。

医師に英語力は欠かせない 長文化と高配点で入試は高難度

近年の入試英語はどの学部の問題も長文化が特徴です。共通テストは長文の読解がほとんどで文法問題は減少しています。私立大の試験も長文読解が主流で、単語、文法、和文英訳は長文読解の中で出題されるのが一般的です。自由英作文も、問題自体の難度は高くなっていませんが、全体的に文章量を多く書かせる傾向にあります。

特に激戦が続く医学部では、点差をつけやすくするため、文章を長く複雑化する傾向にあります。このため、読むのに時間がかかり、最後まで問題を解き切れないといったことが起きやすくなっています。その長文が医学と関連した内容の文章である場合もあり、特に医学部単科大学ではその傾向が顕著に見られます。医学の知識が問われるわけではありませんが、日頃から医学や医療の分野に興味を持っているかどうかで読解度も違ってきます。

こうした難しさに加え、医学部入試では全体的に英語の配点が高く設定されています。中には順天堂大学や東邦大学のように、英語の配点を数学の配点より高くする大学もあります。このように英語の難度が高いのは、医療の世界ではそれだけ英語が重要だからです。医師であれば、海外の論文を読むことは最新の研究成果や医療技術を知るうえで欠かせません。医療器具や医薬品にしても海外の会社が製造しているものが多く、英語のマニュアルが読めないことには話になりません。外国人の患者さんを診る機会も増えています。英語が苦手な人は医師の適性がないというより、医師としてやっていけないと言ってもいいでしょう。

100%分からなくてもいい 類推して全体を読み取ろう

長文読解が中心となった近年の入試英語に対応するには、まずは読解力、それも速く読む力が求められます。長文をいちいち日本語に置き換えて考えていたのでは間に合いません。英文として読み取って、理解することが必要です。

そのために最も有効なのは「多読」です。「多読」とは、文字どおり英語の本をたくさん読むことです。一つ一つ丁寧に解釈して読むことを「精読」といいますが、反対に「多読」は100%の理解や100%の正確さにこだわらず、とにかくたくさん読んでいきます。

基本的には、分からない単語があっても辞書を引かず、類推して読み進めます。辞書を引いているとたくさんは読めないからです。そもそも入試に辞書は持ち込めません。仮に持ち込めたとしても、いちいち辞書を引いて日本語に訳していたのでは、試験時間内に読み終えることはできません。止まらずに読み続けて8割ぐらいは理解できるように、辞書を引くのは重要な単語だけにする。こうした訓練をしておくことが有効です。

もちろん文法は必要ですから、文法を含めて語法や単語などの基礎は、中学・高校の授業できちんと身に付けておきます。ただし、いくら文法や単語を覚えても英語を使えるようにはなりません。多くの英文に触れ、文法や単語が実際の文章でどのように使われているかを知って、初めて自然な英語を使えるようになります。重要なのは大量の英文をスムーズに読めるようになることです。

私がお薦めしたいのは、やさしい絵本をCDを聴きながら読むことから始めるという方法です。そこから徐々に読む本のレベルを上げていきます。大切なのは自分の英語力に合ったものを読むことです。辞書を引かなくても8割程度分かるというレベルの本です。もともと日本語で読んで内容を知っている物語などを読むのもいいでしょう。本の内容は自分が興味のあるものなら何でもいいと思います。

中3からの多読習慣で英語で読書が可能に

目安としては、始めて4年間でペーパーバックが読めるくらいの力を目標にします。中2までに中学の基礎文法と最低限の単語を習いますから、中3から始めても高3までに十分に間に合います。

このように英語のシャワーを浴び続け、日本語に置き換えることなく英語を英語のまま理解できるようになると、読むことが面白くなってきます。英語の勉強というより、読むこと自体が趣味になります。

興味に応じて『ナショナル ジオグラフィック』の科学記事を読んでもいいですし、ジェイン・オースティンやチャールズ・ディケンズなどの古典文学に触れてもいいでしょう。ジョン・グリシャムなどの社会派小説やノンフィクションを読んで、アメリカの社会や司法の現状を知るのも楽しいでしょう。インターネットで検索して最新の医療ニュースを英文で読んでみるのもお勧めです。こうした知識は日本語の論説文の読解にも役立ちます。

医学部でも医師になってからも多読の力は財産になる

このようにして高2までに多読の力を付けておけば、高3では志望大学の出題傾向に特化した対策をするだけです。多読で土壌ができていれば、長文問題を読み取る力も長めの自由英作文を書く力も全く違ってくるはずです。大学受験だけではありません。医学部に入れば、英語の医学論文や文献を読みこなさなくてはなりません。長い英文が読める学生とそうでない学生とでは、その差は歴然としています。

高い英語力があれば医師になってからの活躍範囲も広がります。国際的なセミナーや医療雑誌での論文発表、海外の学会参加や海外研修など、英語を十分に扱える医師なら海外にキャリアを広げる道も開けてきます。

なるべく早い時期から、英語の本を読む習慣を付けましょう。勉強と勉強の合間の休憩時間、夕食までの空いた時間、出かけるまでの隙間時間などを利用するといいでしょう。生活の中にあるちょっとした空き時間にゲームをやるか、多読をするか。その違いは大きな差となって現れます。まだ中学生なら、そのあたりは保護者の方も気を付けていただきたいところです。

勉強時間だけが勉強ではありません。勉強だけが学びではありません。日本語の本も含めて、読書をたくさんしてください。自分の好きな内容であれば、多少難しくても入っていけるものです。読みやすい簡単なものから、多読の世界を広げていただきたいと思います。

【出典】『LABbook 医学部受験がわかる 2024年 12 月号』東京出版 , 2024 , P.42-43 .より転載。

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