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【西武学園文理小学校】医師を目指す教育ではなく 何にでもなれる国際基準の バイリンガル教育を実施

【西武学園文理小学校】医師を目指す教育ではなく 何にでもなれる国際基準の バイリンガル教育を実施

2026年4月、バイリンガル教育をスタートさせた西武学園文理中学校。それに続き2027年4月には西武学園文理小学校でもバイリンガル教育をスタートさせる。小中高の12年間一貫教育の中で、以前から特に小学校6年間での「英語のシャワー」教育に注力してきた同校だが、より世界基準の教育を子どもたちに与えたいと大きな改革を進行中だ。その内容について、マルケス ペドロ校長に話をうかがった。

新しい入試制度の導入は
国際基準の教育への一歩

 移行期である本年度、まず行ったのが「第一志望入試」の導入だ。

 「これまで、ペーパーテスト中心の入試を行ってきましたが、第一志望入試では、1室に集めた子どもたちの行動と保護者の面接を重視します。未就学児の脳はまだ発達段階の途中です。そんな時期にペーパーテストで判断しても、その後の学力が保証されるわけではありません。オーストラリアやカナダ、北欧など教育先進国では保護者の面接を重視します。親がどれだけ教育に関心があり、どんな家庭なのか、これからの学びでどんな力を身につけられる環境にあるかを見たいからです」とマルケス校長は話す。

 子どもたちはおもちゃや筆記具などのある部屋で過ごし、そこで他の子と何を話し、どう行動するのかを見られる。一方、親の面接には正解はないものの、今の日本の教育制度に危機感をもち、同校の新たな教育方法に賛同する人を求めるという。

 「一昨年、アジア数カ国を視察してきましたが、日本の教育制度ほど古いところはありません。日本では今も講義形式です。世界のエリート校では基本知識は与えるものの、授業の後半は生徒が課題に取り組み、発表するなど主体的に動くアクティブラーニングが中心です。デジタル時代、情報は自分で得られるにも関わらず、日本の学校教育は相変わらず情報を与えて知識の定着をテストで測るというもの。その先の行動力や知識の応用を実践できる学校を求めているご家庭のお子さんに入学してほしいと考えます」

 卒業生に医師が多いことに定評がある同校だが、小学生から「医師になる」ことを前提とした教育については、マルケス校長は疑問を呈す。

 「小学生はまだ向き不向きもわからず、将来どんな進路を選択するのかわかりません。決められた進路に向けて学ぶのではなく、将来、自分の進みたい進路を選べるように土台となる基礎能力、そして認知能力と非認知能力をバランスよく身につけられる教育を与えることが大切です。小学生から医師を目指し、勉強を頑張って点数をとることだけがその子にとって本当によいのかと考えてもらいたい。それよりも、自分で考え、自分で決めることのできる子どもを育てたいですね」

6年次のアメリカ研修では、国連本部を訪問する。多様な文化や習慣を体感し、その多様性を理解しながら、国際人としての素地を養う
自ら考え、まとめ、最後はプレゼンテーションまで行う「卒業研究」。この経験を通じて、次世代を生き抜く力を身につける

大学で教員免許を取得した
プロの外国人教員を増やす

 では、入試制度の変更以外にどのような教育改革を行うのだろうか。バイリンガル教育に関しては、これまでも十分な人数のALTが揃っていたが、今後は「英語を話す外国人」ではなく、教科を教えるプロの外国人教員AST(アシスタント・サブジェクト・ティーチャー)を増やし、教科指導もすべて日本人との2人体制で日本語と英語で行う。また、海外研修については、英米2カ国を研修先としていたが、今後はシンガポールなどアジアも組み入れる予定だという。

 「西洋を偏重せず、アジア人としてアジアの現状も見てほしいからです。他のアジア諸国の多くは、経済的にすでに日本を超えています。アジアへの認識を変えてほしいので、西洋と東洋を両方見る研修に変えます。また、海外の留学生の受け入れを中高ではすでに実施していますが、小学校でも来年度から進めます。こちらから行く海外研修は1〜2週間程度で終わってしまいますが、常に留学生を受け入れていれば、いつでも〝世界〟と出会えるからです」

 これまでも継続してきた「本物に触れる教育」もさらに強化していく予定だ。農業体験をする「文理ファーム」、中高で行っている音楽や芝居など舞台を見る体験、地元の医大と連携した体験実習の他、他分野の体験実習も増やしていくとのことだ。

埼玉医科大学総合医療センターの協力のもとに行われる医療体験実習。本物にふれる、将来の進路選択にも大きく影響する貴重な体験

「ガチ・プロジェクト」で
主体性を育み、輝かせる

 特筆すべきはすでにスタートしている「ガチ・プロジェクト」だ。新しい制服の選定、地元のお祭りの企画・運営、学校説明会の運営を生徒たちが縦割りでチームを作り、上級生がリーダーとなって進めている。来年度からは学校のウェブサイト制作、学校案内の冊子制作も行う。

 「授業のない土曜日に任意で活動しますが、いくつ参加してもいいし、合わなければ別のプロジェクトに移るもよし、参加しない自由もあります。自分で選び、自分で軌道修正するという体験をさせたいからです。実際の社会と連動した体験は、子どもを輝かせます。失敗したっていいのです。ウェブサイトが一時的に見られなくなっても全然かまわないじゃないですか」

 こうした活動の成果は、すでに中高で明らかとなっている。生徒の主体性が向上し、それに伴い進学実績も上がったという。

 「生徒の笑顔も増えました。というのも主体性がつくと居場所ができて、幸福度が上がるからです。デジタルの中で孤独に過ごし、人間関係の作り方もわからずに居場所を失う子どもが多い中、本校の生徒は学校に来ることが大好きです。もっとも、病気でも登校したがるのが悩みの種ですが(笑)」

 学校を子どもたちのハブにしたいというマルケス校長に、受験を考える保護者へのメッセージをお願いした。

 「今の子どもたちが生きる10年後は進路のあり方が変わります。消える職業もあるでしょう。そんな未来を生きるために、どんな力が必要なのか想像してみてください。それはAIにはなく人間にしかない、〝知識を扱う力〟であり、非認知能力であり、機械の上司になる力です。それには、たくさんの成功と失敗、人間関係を体験させる学校がよいでしょう。それに加えて英語力が必要です。先進国で英語ができないのは日本だけ。論文の読み書きにも、プログラミングなどテクノロジーの業界も、医師にだって英語が必須です。翻訳機の性能がよくなっても、自分の言葉でコミュニケーションできることが大切ですし、相手の文化や考え方を理解するのに役立ちます。ただ、本校に入学時は、英語はまったく話せなくても大丈夫です。さらに、インターナショナルスクールよりも学費が安価であることもお伝えしておきたい」

 ブラジル出身で、国際的な視野で日本を俯瞰し、日本語を学ぶことで日本的な考え方を理解してきたというマルケス校長らしいメッセージだ。

農家の方の協力のもと、文理ファームでお米(田植え~稲刈り~奉納)やジャガイモなどの作物を育て収穫することで、食への感謝の気持ちを育む

西武学園文理小学校

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