【北嶺中・高等学校】医学部医学科への現役合格実績で全国屈指の成果 医師・研究者が直接指導する 医系エリート育成プログラムが充実
北海道初の完全中高一貫校として1986年に中学を、1989年に高校を開校した北嶺中・高等学校は、東大をはじめとする難関大学や医学部医学科への高い合格実績に強みを持つ男子進学校だ。柔道とラグビーを必修とする文武両道の姿勢に加え、家庭的な雰囲気の「青雲寮」では寮母や養護教諭が生活を支え、学習支援体制も充実している。同校の多彩な取り組みについて副校長の郷頭竜也先生に聞いた。
全国トップクラスを誇る
医学部進学を支える仕組み
北海道札幌市にある北嶺中・高等学校は、全国から生徒が集う男子中高一貫校である。2026年度入試では医学部医学科に68名が合格し、うち国公立大学医学部医学科には44名(現役33名)が合格した。国公立大学医学部医学科現役合格占有率は全国2位。さらに東京大学には9名が合格し、そのうち2名は最難関の理科三類へ進学している。
郷頭先生が「特に印象深かった」と振り返るのが、その理科三類合格者2名だ。1人は現役合格。愛知県豊橋市から入学した寮生で、ラグビー部主将として北海道選抜にも選ばれた。柔道では黒帯を取得し、まさに文武両道を体現する存在だったという。「決して天才型ではありませんでした。悩み、苦しみ、時には体調を崩すこともありましたが、彼は最後まで努力を続けました。仲間からの信頼も厚く、本当の意味でリーダーシップを持った人物でした」
もう1人は、現役で東京大学理科二類へ進学した後、大学に通いながら独学で再挑戦し、理科三類合格を果たした卒業生だ。担任だった郷頭先生は、進学後も模試結果の相談に乗り、志望理由書や面接指導を続けてきたという。「夢をあきらめずに挑戦し続けた結果だと思います。私たち教員にとっても本当にうれしい合格でした」
こうした成果を支えているのが、学校と寮が一体となった教育体制である。生徒の半数以上が校舎に隣接する青雲寮で生活しており、通学時間は0分。学習に集中できる環境が整う。寮では夜間講習を実施し、学校教員と寮スタッフが連携して学習を支援する。受験期には長期休暇中も多くの高3生が寮に残り、仲間とともに学び続ける。
さらに大きな特徴が、卒業生によるチューター制度だ。北海道大学医学部や札幌医科大学医学部に在籍する卒業生約40名が指導にあたる。質問対応はもちろん、医学部受験で重視される志望理由書の添削や面接練習までていねいにサポートしている。郷頭先生は「生徒たちは教員や保護者以上に先輩のことばに耳を傾けます。実際に医学部へ進学した先輩の存在は、学習面でも精神面でも大きな支えになっています」と胸を張った。
地域医療から最先端医学まで
現場で学ぶ探究プログラム
同校がめざしているのは、単に医学部へ進学させることではない。その先にある「どのような医師になるのか」を考えさせる教育である。その象徴が「北嶺メディカルスクール」だ。医師や研究者による講演会を定期的に開催し、生徒たちは最先端の医療や医学研究に触れている。
今年度も、がん治療に関する講演会を実施したほか、大学教授や専門医による講義を毎月開催する。中学生の段階から第一線で活躍する医師の話を聞ける環境は貴重だ。「生徒たちは医師の先生方に強いあこがれを抱きます。実際にお話を聞くことで、自分も将来こうなりたいという目標が具体的になっていくのです」
病院見学や医療体験も充実している。「ブラックジャックセミナー」では医療現場を訪問し、医師や医療スタッフの仕事を間近で学ぶ。札幌市内だけでなく、道内各地の医療機関とも連携している。
なかでも特色あるプログラムが、北海道・礼文島で実施される「Dr.コトーキャンプ」である。離島医療に従事する卒業生医師のもとを訪ね、地域医療の現場を体験する2泊3日の研修だ。都市部とは異なる医療の実情を知り、医師の社会的使命について深く考える機会となっている。
実際、この体験が進路を変えた卒業生もいる。当初は難関医学部進学を目標にしていた生徒が、キャンプを通じて地域医療に強い使命感を抱くようになった。そして自治医科大学へ進学し、現在は北海道の地域医療に携わっているという。郷頭先生は「学校としては難関国立医学部へ進むと思っていた生徒でした。しかし本人は『地域医療こそ自分の進む道だ』と決意したのです。その思いを貫き、今は夢を実現しています」をうれしそうに目を細めた。
同校では、こうした「本物」との出会いを重視している。医師だけではない。高1では東京大学本郷キャンパスを訪れ、安田講堂で講義を受講する。夜には卒業生や大学生との座談会を実施。高2ではさらに専門性の高い交流プログラムが行われる。40年以上の歴史の中で、卒業生は医療界のみならず、研究、法曹、ビジネスなど多方面で活躍している。医師として大学教授になった卒業生もいれば、最先端のAI開発に携わる卒業生もいる。郷頭先生は「本物に触れる経験が、生徒の視野を大きく広げます。医師をめざす気持ちがより強くなる生徒もいれば、新たな夢を見つける生徒もいます」と語る。
「青雲寮」で育まれる自立心と
医師に求められる人間力
近年の医学部入試では学力だけでなく、主体性や協働性、コミュニケーション能力も重視されるようになっている。総合型選抜や学校推薦型選抜が拡大し、人間性を含めた総合評価へと変化しているためだ。
同校では、こうした力を育てる土台として寮教育を位置づけている。親元を離れて生活する中で、生徒たちは身の回りのことを自分で管理するようになる。起床・就寝、食事の後片づけ、部屋の整理整頓など、日々の生活そのものが学びの場だ。「保護者の方からは『帰省するたびに成長を感じる』という声をいただきます。以前は何もしなかった子が、自然と家事を手伝うようになることも珍しくありません」
中には、「お母さん、ありがとう」と素直に伝えられるようになった息子の姿に成長を感じたという保護者もいるという。また、共同生活を通じて他者への配慮や協調性も身につく。「将来、医師になれば多職種との連携が不可欠です。寮生活で培われる人間関係づくりの力は、社会に出てからも大きな財産になります」
多様化する入試への対応も進めている。英検®やTOEIC、数学検定、漢字検定を全員受験とし、生徒一人ひとりの強みを可視化する。
さらに高1では「進路探究」の授業を実施。日本政策金融公庫主催の「高校生ビジネスプラングランプリ」に学年全員で挑戦している。2024年度には学校賞を受賞し、全国トップ100入りしたチームも生まれた。課題発見力や論理的思考力、プレゼンテーション能力を養うことで、総合型選抜や学校推薦型選抜にも対応できる力を育てている。
郷頭先生は最後にこう語った。「本校は教職員が一人ひとりをていねいに見守る、家族のような学校です。医学部合格はもちろん大切ですが、その先で社会に貢献できる人材を育てたいと考えています。寮で過ごす6年間で得られる成長や仲間との絆は、一生の財産になるはずです」
医学部合格実績の高さだけではない。医師として求められる知性と人間性の両方を育む教育こそ、同校が多くの医師を輩出し続ける理由なのである。
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