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【川崎医科大学附属高等学校】進化する「ドクターロード」 9年一貫教育もさらに充実

【川崎医科大学附属高等学校】進化する「ドクターロード」 9年一貫教育もさらに充実

9年一貫で医師の育成をめざす高大接続教育で実績を重ねている川崎医科大学附属高等学校。医学部医学科進学率9割超を支えているのが、高校入学前からはじまる「ドクターロード」プログラムだ。医療や医学に関する多彩な体験プログラムからなり、医師になるための自覚や資質を育んでいる。同プログラムを担当する川崎医科大学、附属高校の先生方にお話を伺った。

充実する「テーマスタディ」
狙いは“研究マインド”育成

八田 「ドクターロード」プログラムでは近年、「テーマスタディ」の拡充に力を入れています。「テーマスタディ」は、2年次に3人程のチームに分かれ、研究テーマを見つけるところから調査や実験・観察、発表までを行います。これまでも医科大学の先生方にご協力いただいてきましたが、現在では発表会の審査員として、最優秀賞や優秀賞の選定などにも加わっていただいています。生徒たちにとって「良い研究」がどういうものかを具体的に知る機会になっていますし、年々レベルが上がっていると感じています。昨年度は校内発表だけでなく、「JSEC(高校生・高専生科学技術チャレンジ)」など外部コンテストへの応募にも取り組みはじめ、今年度は医学関連の学会への参加も視野に入れています。

岡本 1年間かけて「テーマスタディ」に取り組む以上、できるだけ一流の研究をめざしてほしいと思います。一昨年の例ですと、解剖学を学ぶための学習方法の開発に関する研究をした生徒たちの研究結果を、学会発表や論文化までサポートしました。単に探究して終わりではなく、レベルの高い研究にできるだけ近づけるような取り組みにしていきたいと考えています。

宮野 私たち大学教員は、研究内容を学会発表や論文化まで持っていくことが最終目標です。現在、「高校生発表枠」を設けている基礎医学系の学会もいくつかありますが、高校と学会が十分につながっていないため、実際には参加者が少数にとどまっているのが現状です。その点、この取り組みなら、生徒のテーマを見ながら「このテーマなら生理学会が合う」「この研究なら薬理学会がいい」といった具体的な提案ができます。これは他校にはない強みだと思います。

医科大学との連携を密にする
専門のセンターを設置

岡本 附属高校では毎週、研究活動「テーマスタディ」を行っていますが、これまでは疑問点や課題が大学に届くまでに時間がかかっていました。大学と高校の連携をもっと密にすることで研究の進行速度も加速するのではないかと思っています。

八田 今年度から附属高校に新しく「テーマスタディ(TS)・ドクターロード(DR)センター」を設置しました。沖野先生は昨年まで15年間、医科大学の副学長補佐として高大接続を担当されてきましたが、今年度からは附属高校の参与として、このセンターで「テーマスタディ」を担当してくださることになりました。

沖野 高校生のテーマは、最初はかなり漠然としています。たとえば「AIの弊害」「フードロス」「運動前後で脳波はどう変化するか」など本当に幅広いです。そこで私たちは「どういうデータを取れば研究になるのか」「どのように数値化するのか」といった研究の方法論を一緒に考えていくわけです。今年度からはテーマを最終決定する前に、大学と連携して専門分野に応じて適切な教育へとつなげる体制も整えました。統計や情報、栄養分野など、医科大学だけでなく川崎医療福祉大学も含めて川崎学園全体で支援していきます。

宮野 以前は大学側がテーマを決める試みも行いましたが、現在では生徒自身が興味を持つテーマの方が、主体性が高まり、研究も伸びると感じています。研究テーマを後輩へと引き継ぐ「継続研究」も生まれていますし、統計処理や文献検索、発表方法などの研究スキルも代々受け継がれているようで、発表の質も研究の質も確実に向上しています。

TS・DRセンターで、沖野先生に相談する生徒たち。経験豊富な先生の助言で探究活動が進化深化する

高校教育の前後も合わせて
「ドクターロード」を体系化

八田 「ドクターロード」は、現在、高1で「ドクターロードⅠ」を、高2で「ドクターロードⅡ」を実施し、「テーマスタディ」をその集大成として「ドクターロードⅢ」に位置づけています。また、これまで高3の3学期に実施していた医科大学入学前研修は「ドクターロードⅣ」として、高校から大学までを一貫したキャリア教育としてつなげています。さらに、今年度からは本校入学予定者に課す課題学習を、「ドクターロードZERO」とし、入学前から学習習慣やノート作成、読書による学園創設者の思いなどを経験してもらい、附属高校での学びにスムーズに接続できるように体系化しました。

宮野 「ドクターロードⅣ」の入学前研修は、医科大学の授業を体験してもらうことが目的でしたが、それだけでは十分でないと考え、新たに「総合科学入門」の授業を導入しました。ここでは「医科大学ではどのように勉強するのか」「学習時間をどう確保するのか」「暗記に頼らず、どう理解するのか」といった“学び方”そのものを徹底的に指導します。入学後には、附属高校出身の学生向けに「総合科学」という授業も実施します。これは1年次の学びが4年後の共用試験や、6年後の卒業試験、国家試験にどうつながるのかを理解してもらう授業です。過去問を活用しながら、医科大学で必要な勉強法をアクティブラーニング形式で学びます。

岡本 附属高校出身の学生に対しては、大学入学後も2か月に1回程度面談を行い、学習状況を確認しながら指導しています。このように大学進学後も継続的に支援し、「医師になるまで並走する」という体制を作っていきます。

沖野 医科大学においても研究医の育成は大きな目標であり、高校生のうちから「研究者マインド」を育てられるという意味でも、「テーマスタディ」は意義ある取り組みだと思います。私が大学と高校の間をつなぐことによって、その取り組みがさらに加速し、良医を育てていくための高大接続教育のブラッシュアップに貢献したいと思います。

八田 昨年度から高校での専願入試(総合判定型)もはじまり、多様な生徒を受け入れていますし、大学との接続教育もこの数年でさらに充実しました。今後も生徒が主体的に学び研究し、成長できる環境を発展させていきたいと考えています。

川崎医科大学高大連携推進委員会 委員長 宮野佳(前列左)、副委員長 岡本秀 一郎(後列左)。附属高校 教諭 八田修治(前列右)、参与 沖野哲也(後列右)

医師になる基礎を作ってくれた3年間
ここで出会った仲間たちは大きな財産

川崎医科大学医学部5年 大久保 多紋 さん

 医師をめざしていた兄に憧れ、幼い頃から医師になるつもりでした。そのため医学部への推薦枠のある中高一貫校に進学したのですが、僅かな推薦枠をめぐって競い合うことも、一般入試で合格するのも、どちらもとても厳しいと感じていました。そこで小6の頃から存在を知っていた川崎医科大学附属高校の東京である学校説明会に参加し、また、岡山にも足を運び、「ここなら現役で医学部に行ける確率が高い」と確信し、専願で出願しました。

 当初は不安だった寮生活ですが、少人数ということもあり、すぐに不安は消えました。時には意見が合わないこともありますが、互いを深く知り尽くしていますから、そういう場合の対処も含めて、人間関係を良好に保つ知恵のようなものも学ぶことができました。

 「ドクターロード」では、川崎医科大学の3つの附属病院の医師に1対1で質問できる「医師へのインタビュー」が強く印象に残っています。身近な親族に医師はいないため、医師という職業や生活に直接触れることができ、勉強へのモチベーションを維持する上でも、とても貴重な体験でした。医科大学入学前研修での「骨学実習」や、高校生向けの医学の授業も、大学での学び方を知るという意味で大変役に立つものでした。

 高校3年間の寮生活で身につけた学習習慣は、医科大学進学後もずっと維持しました。すると大学2年の時、自分には縁がないと思っていたオックスフォード大学に3週間留学することができました。その意味でも、附属高校での3年間の基礎教育は正しかったのだと感じました。

 この附属高校は本当に素晴らしい教育機関です。チャンスは誰にでも平等に与えられていますし、何よりも、永遠に交流が続くと思われる素敵な仲間たちに巡り会うことができます。医師への夢に向かってまっしぐらに進める環境がこの高校にはあります。

川崎医科大学附属高等学校

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